
Comb stripe denim series
-PALAKA and Trousers-
2021.06.21~
オープンカラーが着たくなってくる頃、いよいよ夏の始まりです。夏を象徴するアイテムの中でも僕は開襟シャツが特に好きです。開襟シャツと言ってもいろんな種類があります。キューバシャツとか、ボウリングシャツとか、トロピカルシャツとか、それぞれにルーツと歴史があって、遥か遠い時代の夏に想いを馳せるのも、ロマンがあって楽しいです。

ATRCTRがはじめて作ったオープンカラーシャツ。このアイテムのイメージソースは、もうひとつのアロハシャツと言われている「パラカ」です。もともとパラカはヨーロッパの船乗りが着ていた長袖の作業着が起源で、1800年代からハワイに渡った日本人労働者もワークウェアとして日常的に着ていたそうです。格子模様の木綿生地が絣に似ていたことで現地の日系移民に浸透していったと考えられています。

同じハワイアンシャツでも、皆さんがよく知っている典型的なアロハシャツの起源は諸説あって、今日では曖昧になってしまっていますが、そちらの歴史にも日本の開拓民の存在が大きく関係していることは間違いありません。
日本人が持ち込んだ和装特有の“和柄”が、現地のハワイアンや観光客にカルチャーショックを与えたんでしょうね。 実際アロハシャツ最盛期に使用されていたテキスタイルの中には日本で生産された生地もたくさんあったそうです。
日系移民の祖国への郷愁と南の島の陽気な空気が、絶妙なバランスでアロハシャツを生み出したのでしょう。

面白いことがありました。このシャツが完成したときクルーの小川くんは、これに袖を通しながら「ちょっと“和”っぽくてイイですね。」と呟いたのです。僕は、ハッとしました。二十代半ばの彼がこの洋服を見て“和”を感じているということに。なんら予備知識を与えられていない状態で、大昔の開拓者がパラカに感じたのと同じように、この洋服に“和”のテイストを感じ取るなんて、まるでSF映画のワンシーンみたいじゃないですか。200年以上続くこの長い物語の一番端っこに、今うちのルーキーが立っていると思うと…ちょっと感動しました。
